頑張ってる人の毎日を応援するSNS「KIKYU」には、日々の目標や、今後叶えていきたい夢がたくさん投稿されています。
そのどれもが、自分の人生をより良くしようと思って投稿されている、とってもすてきな投稿です。
ただ、正直に言うと「あなたの夢は何ですか」と聞かれて、「〇〇です!」と明確に答えられる人ってそんなにたくさんいるわけではないんじゃないか、とも思っています。
ただ世間では、「夢はないです」という人の声より、夢を叶えて充実しているように見える人の言葉や、夢を持つことの大切さについての話を耳にする機会の方が多いのではないでしょうか。
では、現時点で「自分の夢は〇〇だー!」と言えないのはダメなことなんでしょうか……?
ということで今回は、「夢を持つってそもそもどういうこと?」を少し掘り下げていきます。
夢の種類。大きな夢と日々の夢
今でこそ非現実的な夢ではなくなりましたが、「宇宙旅行に行く」というのは、これまでは大人にとっても子どもにとっても「叶えられないかもしれないけど言ってみただけ」の夢でした。
このように、夢の中には「叶わないだろうな」と分かっていても心に置いておくだけで自分の人生が楽しくなるものもありますよね。
こうした壮大な夢は、現実的でないからこそ、持っておくと楽しい夢かもしれません。
一方で「〇〇に合格する」というような夢は、その夢を達成するためのステップがある程度計画立てられるため、目標と言い換えられるような夢です。この種の夢は、叶えるための道順がわかっている分、「叶えられなかったとき」のダメージもある程度想像できます。
だからこそ、叶えられなかったときを恐れて「だったら最初から夢は持たない」という選択肢を選ぶ場合もあります。しかし、世間で言われることが多いのは、この「目標と言えるような夢」を持つことの大切さ、です。
そうした話を聞くたびに「夢に向かってない自分はつまらないのだろうか」と何となく自己肯定感を低めてしまうこと、ありませんか。
確かに、明確な夢(目標)を持って前向きに進むのは楽しいですし、充実した毎日を送れそうです。では、逆に、明確な目標がないのはいけないことなのでしょうか…?
ここで登場するのが「壮大な夢」でも「目標と言える夢」でもない「日々の夢」です。
今は「明日のため」にあるの?「日々の夢」って何?
紀元前1世紀の古代ローマの詩人であるホラティウスの詩に次のような一節があります。
「Carpe diem quam minimum credula postero」
これは直訳すれば「明日のことは可能な限り信用せずに、その日の花を摘みましょう」という意味ですが、超意訳をすれば「明日のためでなく、『今』を生きよう」と言えると個人的に考えています。もしくは「今」を大事にしよう、とも言えるでしょう。
現実からちょっと目をそらさせてくれる「壮大な夢」や、将来の自分のためにあるような「目標と言える夢」が胸のうちにあるのは、それはそれですてきだけれど、ぶっちゃけ、明日がどうなるかは、誰にもわかりません。
だからこそ「今この時」に目を向けようよ、とホラティウスの詩は伝えています。
もちろん、夢を叶えるために苦しむ期間や瞬間はあります。努力なくして目標に手が届くことはないでしょう。しかし、「夢を叶える」ことだけに躍起になって「今」を見失えば、夢を叶えるよりももっと大事な何かを失う場合もあります。
それは、健康だったり、隣の誰かだったり、大切な人と笑い合う時間だったり。
もしあなたが、今、壮大な夢や明確な目標を持っていなかったとしても、今を楽しみ、今に幸せを感じ、「自分って毎日頑張ってるな」と思えているなら、それはとてもすてきなことだと思います。
そして、そんなあなたが思う「あ、今日のお風呂にはお気に入りの入浴剤を入れよう」とか「金曜日の夜は大好きなスイーツを食べよう」というもの、これこそが、あなたがあなたを幸せにするために日々紡ぎ叶え続けている夢、なのです。
自分の毎日を幸せにするための「日々の夢」は意識することは少ないかもしれませんが、実際にはどんな人からも毎日生まれている大切な夢と言えるでしょう。
夢は「叶える」だけのものではない
夢、と聞くと「叶えるもの」という意識がセットで出てきますが、ここまでにお伝えしてきたように、夢は「叶う・叶わない」の二択だけで語れるものではありません。
毎日を丁寧に紡いでいる誰もが、「今」が少しでも楽しく・気持ちよくいられるように自分なりに努力し、考え、行動しています。
お出掛けのとき、自分の気持ちをアゲるために好きな靴を選ぶこと、それだけでも、あなたの心はうれしさを感じています。意識していなくても、あなたは十分、あなたの心によろこびを与えるための選択をし続けています。
もし今、あなたの中に「壮大な夢」や「目標と言える夢」がなかったとしても、そのことをコンプレックスに思う必要なんてひとつもありません。あなたはあなたにしかできない大切な「日々の夢」をしっかり叶え「続け」ているのですから。
あなたが日々幸せに生きている、それこそが、「今」にとって非常に大切なこと。まずは「今」を大切に、あなたの「今」の幸せに着目してみてくださいね。