私が夢を叶えようと必死だった頃、心の支えにしていたのは、チャールズ・ダーウィンによる名言です。
「種の起源」でよく知られる生物学者・ダーウィンは、「生存できる種とは、強い種ではなく、賢い種でもなく、変化に順応できる種である」という言葉を残しました。
厳しい市場競争の中で生き残ることができるかどうか、企業の経営を語る上でこの名言が引用されることもしばしばありますが、この言葉は企業だけでなく個人にも当てはまると私は考えています。
思うようにいかない留学生活
今から10年ほど前のことですが、私には海外留学して経験を積み、キャリアを築くという夢がありました。
私は新卒で入社した民間企業に3年間勤めたのち、一念発起してロンドンに語学留学。
短期間ではありましたが貴重な経験をして帰国し、夜間大学院を経て2年後に希望の転職先に就くことができました。
現在振り返って考えてみると、あのとき思い切ってロンドンに行ったことで自信がつき、その後の自分自身の可能性が広がっていったので、人生の転換点となったように思います。
しかしながら、華やかに思えるロンドンでの生活は、最初は思うようにいかないことばかりでした。
渡航前に英会話教室に通いみっちり勉強したはずが、現地ではイギリス英語が全く聞き取れません。
日常生活でのコミュニケーションですら苦労し、わかったふりをしたり、聞き直すのをためらってしまったことも。
英語を話して失敗することを怖いと感じ、心が折れることもあり、孤独感で心が押し潰されそうでした。
次第に自分はなんて心が弱いのだろう...もっと自己主張できる心の強い人だったら、賢い人だったら...と考えるようになりました。
そんなとき、ダーウィンのこの言葉に出会ったのです。
行動に変化が…
強くなくてもいい、賢くなくてもいい、そう思うと気が軽くなりました。
そして私は「変化に対応する」ということを、異国での生活において大切にするようになりました。
街中で聞こえてくる会話に耳を澄ませ、とにかく色んな場所へ出かけるようにしました。
この土地で生活する人々がどんな言葉を使い、どんな振る舞いをするか、まずはよく観察するようになったのです。
もちろん語学力を向上させるための努力も怠りませんでした。
そのうち、現地の語学学校で沢山の友人もでき、イギリス人の発音にも少しずつ慣れ、日々の生活の中で自分なりの楽しみを見つけられるようになりました。
海外生活においては、予想外のハプニングや自分の意志では思い通りにならないことも多くあります。
そんなとき、その土地での暮らしにいかに順応するかということを大切にすると、余計なことで落ち込むことも少なくなり、生活を楽しむ余裕が生まれると感じます。
大切なのは順応性
私は留学後、日本に帰国しいくつかの職場を経験しましたが、いずれの環境でも順応性を意識していたように思います。
ダーウィンの名言は、さまざまな環境で暮らす多くの人を応援する言葉にもなり得るのではないでしょうか。