幼い頃から「文武両道」が夢でした。
元々読書が好きだったこともあり、勉強の方は、努力さえすれば目標レベルを達成できていました。
スポーツも同じように成果を出したいと思っていたのですが、これが苦難の始まりでした。
気質と体格による出遅れ
幼稚園の頃から水泳を習っていました。
通っていたスイミングクラブは、新しい泳ぎ方を習い、試験に合格すると昇級するシステムです。
全ての泳ぎ方をマスターすると、今度はタイムを競うコースへ進むことができます。
私がタイムコースに進級したのは小学2年生ぐらいの頃でした。
これは同い年の子と比べれば遅いぐらいでした。
というのも、私はいわゆる「頭でっかち」などと言われる気質があり、泳ぎ方一つをとっても、頭で理屈を理解できないと身体が追いついていかないタイプだったのです。
先生のお手本を見てすぐに真似できる子が多い中、私はかなり手がかかる子でした。
更に、私は人よりも圧倒的に体格の面で劣っていました。
幼稚園の頃から大学生に至るまで、クラスでは1、2を争うくらい背が低く、また筋肉も非常に付きにくい体質だったのです。
水泳というのは身長と筋力、そして肺活量に大きく左右されます。
もちろんそれをカバーするくらい練習して技術を身につけられるのが理想ですが、当時の私はそこまでには至りませんでした。
背が低いため、同じスピードで泳げたとしても、背の高い子よりは遅くなり、
身体が小さい分、肺活量も劣っていたので、練習中にへばってしまい、先生から怒られることもしばしばでした。
悔しい気持ちはあったのですが、最終的には挫折し、小学生のうちに水泳を辞めてしまいました。
水泳では、できる努力をしたはずなのに全く及ばないという敗北感を叩き込まれた気がします。
そのせいか、中学・高校では、運動部には入っていたものの、本格的に大会を目指すような部には入らず、適当に卒業までやり過ごしました。
しかしスポーツでも成果を出したいという夢は消えていなかったのです。
別のスポーツで再挑戦!
大学に入学した私は、そこで一念発起しました。
今度は真面目に全国大会を狙う格闘技系の運動部に入部したのです。
格闘技なんて、小柄な私には無理なのでは?とも思いましたが、私とほぼ同じ体格・体質の先輩が結果を出しているのを見て、私もこの人に続きたいという気持ちが湧いたのです。
水泳での反省を活かし、私はとにかく教本とスポーツ科学系の本を読み、練習の前にあらかじめ理屈を頭で理解してから練習に臨みました。
それでも同期より習得は遅かったのですが、どうにかついていけるレベルは保っていました。
また、体格に劣る分、柔軟性や体のバネを生かすような動きを研究し、日々の筋トレ以外にもヨガのような柔軟体操まで積極的に取り入れました。
結果はなかなか出ませんでしたが、4年生の最後の大会の直前に、偶然体の動かし方のコツのようなものを掴めました。
これを理解してからというもの、技の掛け方から受け身まで、見える世界が変わりました。
スポーツが得意な人はこれができるからなんだ!と、とにかく感動したのを覚えています。
それから大会に臨んだところ、いつもは初戦敗退の私が、なんと勝ち進むことができました!
結局その後は途中で負けてしまい入賞には至りませんでしたが、私にとっては大きな成果でした。
本当に嬉しかったです。
スポーツに関してはどこまでも飲み込みの悪い人間でしたが、ここまで匙を投げずに根気強く面倒を見てくれた先輩、コーチ陣には感謝しかありません。
「文武両道」とまではいかずとも、しっかりと自分の夢に対する気持ちを消化でき、頑張ってよかったと心から思える体験でした。