私は中学2年生まで、何をやっても人より頑張る事が出来、成果が出せている方でした。
運動においてもサッカーで活躍していましたし、勉強面においても常に学校内で10番目くらいに入っていました。
それまで人より多少優れていると自覚しながら生きてきたと思います。
それまでの自分を変えた病気
『てんかん』
これで一気に挫折しました。
それまで活躍し続けたサッカーでも、試合中に倒れてしまい、救急搬送され、いずれは試合に出られなくなりました。
学業においても、倒れてしまうことは脳への影響が大きく、わかっていた問題が解けなくなりました。
高校受験は、幸い内申点も高かったため、ある程度レベルの高い進学校に推薦で進むことが出来ましたが、そこから更なる挫折を経験しました。
通い始めた高校のレベルが高かったのもありましたが、中間試験でいきなり33番を取りました。
今まで上位3人程度までの経験しかなかった私にとって、その順位は具体的な数値で私を打ちのめしました。
自分の結果を受け入れられず、今まで以上に暗記の努力をしましたが、それでも20番台でした。平均にすら届きません。
実力テスト関連になると、更に記憶が定着しない事で何も回答できず、わからない事だらけになりました。
それでも、病気のせいにしても仕方がないので、高校3年間、必死で努力を続けました。
しかし実力テストでは、軒並み行きたい大学に合格できるような点数は取れませんでした。
1日6~8時間の勉強をとにかく継続し、苦手な国語を克服するために、毎日隙間時間で読書も継続しましたが、何も身につくことなく、受験は惨敗に終わり、夢見ていた大学での生活の夢がついえました。
つらい経験から、現在の自分を受け入れた
何とか大学は二次試験のあったところを受け、入学しました。
レベル的に不満はありましたが、これを機に、今までの自分が思っていた自分ではない現状を受け入れる事にしました。
自分は、当たり前になんでも出来る人間ではなく、チャレンジャーなんだという気持ちに入れ替えたのです。
ひとり旅を通して得た自信
気持ちを入れ替えた事で初めて取り組んだのは、異国の地、アメリカを旅する事でした。
なんの予備知識もないまま向かって、バスを手配したり、現地で片言の英語を駆使する事で、ラスベガスや、ロス、グランドキャニオン、ティファナといった場所を回り、20日間の貧乏旅行を楽しみました。
その経験から、新しい事へのチャレンジや、いわゆるバックパッカーの楽しさに触れました。
その後東南アジアでもどこでも一人で行けるようになり、何が起こっても、今置かれている状況の中で前を向く事が出来るようになりました。
今では旅行好きな家庭を作り、世界の30か国ほども旅しましたし、その時期の就職活動でも、勉強以外の実行力とコミュニケーション能力をアピールし、1部上場の企業に入る事が出来ました。
病気のおかげで得られた自分
人はだれしも、病気でなくとも、見た目の劣等感やアレルギー、学力その他、それぞれのマイナス面を抱えながらも、何とか乗り切って活躍しているんだと考えるようになりました。
この経験で、私は人より少し人にやさしく接する事が出来る自分になれたような気がして、病気である自分に向き合う気持ちを克服したのではないかと思っています。
病気は良いことではないのでしないに越したことはないという気持ちの一方で、この病気を経験しなければ、自分は人を見下してしまう人間になっていたかもしれません。
そのため、病気をしてよかったとは言えないまでも、自分にとって良い試練になったのではないかと思っています。
※出典:厚生労働省「てんかん」( https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_epilepsy.html )
※出典:公益社団法人 日本てんかん協会「てんかんについて」( https://www.jea-net.jp/epilepsy )