
誰かに感謝を伝えたい、なりたい自分に近づきたい、夢は十人十色でそれぞれです。今回は「東日本大震災を生き抜いた母にプレゼントをしたい」という夢をご紹介します。生きていてくれただけで十分。生きてくれていることに感謝…そんな思いが詰まったストーリーです。
忘れられないあの日
東日本大震災の惨事は、今も心の中に強く焼き付いています。味わったことのないような激しい揺れが襲い、目に映る物すべてが歪み、崩れ落ち、壊れていきました。そんな揺れの中、とっさに頭を過ったのは、石巻で独り暮らしをしている母のことでした。
やっと揺れが収まり母に連絡しようにも、母は携帯電話など持っていないのでどうにも手段がありません。辺りが暗くなりだしたころ、自宅のラジオを聴いて初めて津波があったことを知り、驚きました。
夜が明けてから石巻の情報を得るため友人の車のテレビを見せてもらいました。そこであまりにも大きな津波の凄さを知り、実家は流されたと悟りました。
希望がつながった一本の電話
停電や水不足が続く不便な生活を続けて1週間。もう母の事を諦め始めたころにあった、1本の電話。恐る恐る出てみると、なんと母の声でした。うれしいという感情を通り越して、感極まって声が出せませんでした。
母の「もしもし」という声。私はふり絞るようにしてやっと「はい」と返事をすると、母も声が詰まって何も言えなくなり、2人で泣いたのを覚えています。実家のあった一帯はすべて津波にのまれ、家族の思い出がいっぱいの家も無くなってしまいました。でも母は生きていてくれました。それだけで私は十分です。
80歳の母へ
震災から5年、やっと落ち着いたように思います。
母は4年間、仮設住宅に住んでいましたが、新しく建設された災害復興住宅に入居しました。真新しいカーテンを付けて、お気に入りのテーブルを置いて、好きな花を飾って、何だか母は楽しそうにしていました。自分の家が流され何もかも失った母は、どんなにか辛かったと思います。それでもいつもニコニコと周りを気遣い、過ごして来ました。
来月は母の80歳の誕生日、傘寿のお祝いは一度も東京に行ったことのない母のために東京旅行をプレゼントしたいと思っています。
80歳まで一度も東京に行ったことが無いなんて信じられませんよね。いつも私達のことを優先して、自分の事は二の次にしてきたからです。優しい母に精一杯の東京旅行を贈りたいと思います。ありがとう。お母さん。
夢に大きい小さいはない
今回ご紹介した方は、東日本大震災を生き抜いてくれた母に感謝を伝えたい、という夢を持っていました。再び生きて合うことのできた2人の東京旅行が、楽しい思い出になることを心より願っています!
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