
ここまで30名以上の方々に伺った寄付の話を紹介して参りました。
寄付の経験談としてはここで一旦区切りとさせていただきますが、その最後にご紹介するのは、東日本大震災以降、毎年ご家族でどこに寄付をするかを決めて寄付しているという方のお話です。
毎年寄付先を家族で決定
東日本大震災。
直接被害を受けなかった私たち家族は、被害にあった方々、生き物たちの事を忘れないようにと、思い思いの場所へ寄付することを続けています。
このことは、離れた場所で起こった出来事を他人事のまま終わらせず、少しでも自分に引き寄せて考えられる人でありたい、という私の価値観を作っています。
毎年3.11の時期になるとテレビやニュースでも、震災のことが取り上げられます。
私の家では、2月頃から「今年はどこに寄付しようか?」という話になります。
震災の爪痕はどう残っており、どんな活動が続けられているのか、ということを探しては、家族でシェアします。
勇気ある選択をした牧場への寄付
一昨年(2021年の3月)の寄付では、自身にとって新たな出会いがありました。
この年の寄付は、福島県にある、とある牧場にさせていただきました。
その牧場は、福島県の浪江町、福島原子力発電所近くに位置する牧場で、震災・原発事故当時は牛を330頭ほど飼っていたそうです。
原子力発電所の事故の影響で、その近隣の牧場はみな、家畜の殺処分を要請されていました。
放射能を浴びており、もう商品にならない。
牧場主が牧場を離れるために、動物をそのまま残していけない。
そんな理由なのだと思います。
そのような状況の中、その牧場では、
「家畜を殺処分しない。この牛たちが生きているかぎり、牧場を続ける」という選択をされたそうです。
出荷はできなくとも、牛たちを人の手で殺めることにしないと決断し、それを貫いてきているのです。
そういった牧場の存在とその牧場主の方についてほんの少し知ったことで、私は"生業・生きるための営み"について思い巡らす機会をいただきました。
人間の為のシステムの中で犠牲になる動物が、想像し切れないほどいること。
その動物たちと向き合って生きる場としての牧場があること。
生業・営みは、生活のための糧であるのみにとどまらず、その人の人生であり、正義や主義主張であり得ること。
私は現在教育に関する仕事をしています。
その牧場のこと、それぞれの場所で、それぞれの境遇で闘い続けている人がいることを胸に、"子どもを教え育んでいく"仕事に対して、更に真剣に取り組んでいきたいと思っています。
寄付してみよう
いかがでしたか?
寄付を受ける側の状況などを知るにつれ、寄付をする側にも学びがある場合があります。
寄付をすることでの充実感だけではなく、社会を知り、知見を得られるというのは良いことですね。
これまで30名以上の体験談をご紹介してきた中で、新たに知ったこと、心に刺さったもの、そして何かの行動のきっかけになったものはありましたか?
募金をするのにハードルを感じていらっしゃる方に、動画を見るだけで募金ができる応援募金などもあります。
まずはそういったものから手軽に寄付体験をしてみませんか?