中学校で吹奏楽部に所属しました。
小学生のころから憧れだった部活に入って気持ちが高鳴りました。
先輩から多くのことを学び、みんなで素晴らしい合奏をするチームの一員になりたいという目標を掲げていました。
思い描いていた部活動と、現実とのギャップ
入部届を提出した翌日、自分のパートには他に2人の新入生がおり、すぐに一人ずつ楽器を渡されました。
ケースを開けて初めて見る自分の楽器に「わぁ、きれい」という同級生を横目に、自分のケースを見てみると、その楽器はカビのようなものがついており、傷もたくさん入っていてお世辞にもきれいには見えませんでした。
後で別の人から話を聞くと、同じパートの新入生2人のうちの1人には同じパート内に姉がいたことで、意図的にきれいな楽器が渡されるようにしたとのことでした。
また、1年生はお茶出しや掃除などの雑務を担うことが多いのですが、少しでも作業が遅れると、「とろい」「へたくそ」など、心ない言葉を投げかけられることが多くありました。
練習時間はほとんど雑談をしていて、何も教えてもらえず、手に持っているのはカビがついてとれない楽器。
自分の思い描いていた部活動とはかけ離れた生活を送っていて、何もできないまま3年間を過ごすのかもしれないと、人生で初めて挫折のような気持ちを味わいました。
友人の笑顔をきっかけに
テラスでなんとなく練習をしていたある日、体育館をふと見ていると、バスケ部員たちが水分補給をしに入口まで出てきました。
その中にいた同じクラスの子とたまたま目が合い手を振ると、汗をかきながら満面の笑みでこちらに手を振り返してくれました。
そのときの笑顔がきらきらとまぶしく、とても充実しているように見え、私もそうなりたい!と心が強く動いたことを感じました。
ここから私は人に合わせて指示を待つのではなく、自分で考えて行動して現状を変えていくことを決意したのです。
行動することで周りの対応が変わってきた
はじめは何をすればよいかよく分かりませんでしたが、ひたすら自分の音を聞いて確認し、どうすればきれいな音色が出せるのか、口の形を変えてみたり、同じところを何度も練習したりとひたすら努力しました。
しばらく続けていると、周りの状況が少しずつ変わり始めました。
その姿を見てくれていたほかの先輩が、顧問の先生に伝えてくれて、新しい楽器を購入して貸してくれることになりました。
ピカピカの楽器を触ったときの感動は、今でも忘れられません。
その後も自分で考えることを大切にしながら、努力を重ねて、最終的にはパートリーダーに選んでもらうことができました。
私の学校では、現パートリーダーである先輩が、次のパートリーダーを選んで引退する伝統があります。
自分が選ばれたときに、はじめて先輩からも認められた気がして、とても嬉しかったです。
3年生では、パートリーダー兼ソリストとしてコンサートを開催することができました。
部をよりよくするためにリーダー同士での話し合い、後輩の指導や悩みを聞くことに努め、引退の演奏では、全員で演奏しながら鳥肌が立っていたのを覚えています。
周りに流されず自分で考えて行動する大切さ
私は周りの状況に馴染み、流されてしまうことをやめ、自分で考えて行動する方向へ軌道修正することで目標を叶えられました。
環境のせいにしてしまっていたら、それ以上の成長や感動を感じることはできなかったのかもしれないと今でも思います。