昔から本を読むのが好きだった私が小説家を目指し始めたのは中学2年生の頃でした。
進路調査などで漠然と将来を考える機会が増え、自分が何をしたいのか、何になりたいかを真剣に考えるようになりました。
小学校高学年からはいわゆるライトノベルと呼ばれる青少年向けの小説を読むようになり、自分でも創作を始めていました。
短編小説を書いてネットに投稿するなど文字を使った活動もしていて、小説家になると目標を決めたのです。
しかし、小説家になろうとしても様々なレーベルの新人賞に応募するくらいしか方法を知りませんでした。
また、進学をせずにそのまま文章を書いて食べていけるわけでもなく、まずは高校に進学し、そこからライトノベル作家を育てる専門学校に行くことを思いつきました。
様々な本を読み、我流で小説を書き、高校を卒業するころには夢いっぱいで、専門学校に行けば世界が変わると思っていました。
しかし、現実は甘くなく、専門学校で学んでから初めて挫折を味わうことになるのです。
初めての挫折
周りに自分よりも才能にあふれた人間がいただけではありません。
小説を書こう、良い作品にしようと書き続けるほど自分の文章の粗が目立つようになってしまい、作品自体が完成しなくなってしまったのです。
よりクオリティの高いものを作りたい、もっと改善しないと賞をとれない、という思いが日に日に強くなっていき、新人賞に応募できるような長編を完成させられないまま2年という歳月が過ぎてしまいました。
夢を目標と勘違いしていただけで現実を見ていなかったと気づいたのは、アルバイトで食いつないでいた中で体を壊し、実家に帰る段階になってからです。
その後は目標も見つけられず、ただ派遣の仕事やアルバイトなどを転々とし、生活費を稼ぐだけの日々が続いていました。
しかし転職を繰り返すうちに、将来に不安を感じるようになっていきました。
かつての夢を思い出した
私は就職氷河期世代で、夢を追ってアルバイト生活を続けていたため、正社員経験がなく、正規雇用の職歴がなければ正規社員にはなれないという矛盾に悩んでいました。
一生派遣やバイトを続けていても、年収は上がりません。
そこで思い出したのが、文章を書く、文章が好きという自分の思いです。
文章を書く仕事がしたい、まずは副業から始めてみようと考えたのです。
「得意」に気づいた
ちょうどクラウドソーシングサービスが普及しはじめ、ネットを通じてライターの仕事ができるような環境が整っていたことが幸いしました。
職歴や経歴にとらわれずに、事実をもとに記事を作成する、情報を整理してまとめるライティングの仕事はまさに天職でした。
賞を狙うために文章を創造するのではなく、事実を抜き出し、余分な情報を削るのが得意だということに気づいたのです。
様々な本を読み、人に情報を伝えるための小説を書いた日々は決して無駄にはなりませんでした。
派遣で働きながらライティングの仕事をこなすうちに、仕事の効率化や、割のいい仕事の探し方、収入の上げ方も分かるようになっていきました。
その後、普通に派遣社員を続けているよりもフリーランスのライターとして独立した方が将来性があると気づく段階に至り、今現在文章を書くことを仕事としています。
完全に独学でフリーランスになり、小説家とは違った形で文章を書き続けて生活できることに幸せを感じています。